このブログを欠かさず読んで下さっている方や、リアル友人は知っていることですが、僕は結婚時に妻の氏に改姓(させられて)していますが、普段は結婚前の姓を名乗っています。
最近、主夫ということでメディアに出る機会がありますが、その際も結婚前の姓を名乗っています。

さて、大きなニュースになっていたので、既知のことかと思いますが、11月4日(水)の14時から、最高裁判所で、夫婦別姓が認められないことによって不利益を被ったとして国に損害賠償請求をした裁判の弁論が行われました。

「夫婦別姓認めず」は違憲か 最高裁で弁論(NHK)
「旧姓で仕事、貫きたいが」 夫婦別姓、最高裁弁論(朝日新聞)
再婚禁止期間・夫婦別姓:最高裁弁論 「女性差別いつまで」 違憲判断望む原告(毎日新聞)
「夫婦別姓」最高裁で弁論――原告団「政治が動かない以上、司法が積極的な判断を」(弁護士ドットコム)

1.裁判の傍聴の流れ

普段なら、仕事があるのですが、たまたま代休だったので、初めて裁判所に傍聴に行きました。
初めての体験だったのと、あまり機会のないことでもあるので、傍聴の流れとそのあとに傍聴しての感想を書いてみたいと思います。
(ちなみに、妻もたまたま休みだったのですが、妻は歌舞伎(ワンピース)を見に行ったので、僕1人で行きました。)

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13時に傍聴希望者の受付を締め切る、ということで、最高裁判所の南門の受付前に到着したのが12時20分過ぎでした。
すでにこの時点で前に並んでいる方が30名ほど。
報道の方も少し来ており、並んでいる人に取材したりしていました。

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そして、そこから待つこと30分以上。
ただひたすら待ったのですが、日差しが強く、体調もあまり優れないこともあって、自分が暑いのか寒いのか分からず、かなりぐったりしてしまいました。
読書もままならない…、と自分の体調と闘っていると、13時少し前に裁判所の職員の方が、並んでいた順に整理券を渡してくれました。

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後ろに並んでいた女性は、この裁判などで色々関わっている方のようで、他の人に任せて列を離れていたら、「今ここにいない」ということで、整理券を受け取れていませんでした。
連れの人が「荷物もあるし、下さい」と粘っていましたが、当然ですが、いない人の分はくれないので、列に戻ってきた女性は列の後ろまで並び直しに行っていました。
ついでに、その女性たちの会話によると、13時に列に並んでいなかった人は、1秒の差でも整理券は配布されなかったとのことです。
ということで、傍聴を希望する人は、くれぐれも受付時間には余裕をもって裁判所に到着するようにして下さい。

さて、そこからさらに15分ほど待ちました。
整理券をもらったので、列から離れても良かったのですが、誰も列から出なかったので、僕もそのまま列に並んで待ちました。
そして、13時15分ころ、今回の一般傍聴人の抽選番号が掲示されました。

僕は運良く抽選に当たりました。
そのまま当選した人は、整理券と傍聴券を交換します。
(今回、傍聴希望者は250人くらいいたとのことで、3分の2くらいが当選したようです。)

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この時初めて分かったのですが、この傍聴券が前から順番の席順で配布されるので、並んでいた人たちは整理券をもらってもそのまま並んでいたようです。
つまり、最初の方に並んでいた人は、傍聴席の前の方に座れるのです。
(僕は写真の通り、前から2列目の真ん中あたりでした。)

裁判所内に入ると、傍聴席に持ち込めるのは【筆記用具】と【貴重品】ということで、それ以外のものは全てロッカーに入れさせられました。
携帯電話やカメラも貴重品のような気がしますが、それらはロッカーに入れなければならず、ロッカーに携帯電話を入れる際には、「携帯電話の電源は切って下さい」とアナウンスがありました。

そして、空港よりも少しだけ緩いボディーチェックを済ませ、(トイレもこのタイミングで行けます)、ここでもしばし待たされ、大法廷に向かいました。
大法廷では、傍聴券に割り振られていた席に職員によって誘導され、開廷まで待つ、という流れでした。

ちなみに、開廷15分前きっかりに、国側(法務省の役人?)が現れ着席し、5分くらい前に原告側が現れ、3分前くらいに職員から、開・閉廷時の起立や開廷2分間の報道陣による撮影がアナウンスされました。


2.弁論を聞いての感想

裁判の傍聴自体が初めての体験だったので、何か他の裁判と比べることは出来ませんが、夫婦別姓を望む当事者として今回の弁論を聞いてきた感想を書いてみたいと思います。

ⅰどのような判決が出ても納得できる気がした

弁論は、原告側(夫婦別姓を望む側)が8人(だったかな?2回喋った人もいるので…)が主張を述べ、国側は1人だけでした。

僕はもちろん選択的夫婦別姓制度を望む当事者なので、「選択的夫婦別姓制度がない現状は違憲である」という判決を望んでいます。
しかし、例え国側が1人しか主張を述べなかったとしても、その主張を聞いたことで、裁判所の判決がどのようなものであっても、納得出来るだろうな、と思いました。

もちろん、上告側が主張していたような「選択的夫婦別姓制度がないことによる様々な人権侵害や差別」というものを僕自身も今も受け続けていますが、それでも、相対する国側の主張を短くても聞けたことは、裁判所がどのような理由を付けて、どのような判断を下したとしても、とりあえず納得出来るような気がしました。

ⅱ女性【だけ】の問題なのか?

上告側の弁論を聞いていて非常に気になったのが、夫婦同姓が「女性【だけ】への人権侵害」のように聞こえたことです。
あまりにも、女性だけの問題にしてしまっているような気がしたので、女性だけが原告なのかと思い傍聴後に調べたら、原告は「事実婚夫婦を含む男女5人」ということでした。

法律婚ではなく、事実婚による弊害や昨年法律婚をした人たちの96%以上が男性側の姓にしているという現状を、女性に半ば強制している、と主張することは正当な指摘だと思います。
そして、国連の女性差別撤廃委員会のこれまでの勧告内容から、夫婦同姓という制度自体が女性への差別と指摘されていることも知っています。

だからこそ、上告側(原告)も女性への差別だと主張したのでしょう。

しかし、男性にとっても、この夫婦同姓という制度は差別なのです。

今回の弁論でも繰り返し出て来た日本国憲法第24条を引用します(下線引用者)。

1.婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2.配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。



弁論では、「女性が男性側の姓に改姓されることは、同等の権利を有しているとは言えない」というような主張がされました。
しかし、結婚によって姓を変えなければいけないのは、例え昨年3%ほどしかいなかったとはいえ、男性が強いられているということでもあります。
つまり、現状、圧倒的に女性が改姓する人が多いとはいえ、女性【だけ】の問題ではなく、男性の問題でもあるのです。

弁論の中では、男性が改姓した際に直面する種々の問題(たとえば改姓したと判明したら「婿養子なの?」と聞かれるなど)が指摘されていました。
にもかかわらず、主張の多くがあたかも、この夫婦同姓への強制が女性【だけ】が強いられているかのようだったのは(男性改姓者は強制性はなく自らの自由意志で改姓したかのように捉えられてもおかしくない)、残念でした。


と、夫婦別姓を望む原告に批判的なことを書きましたが、繰り返すようですが、僕は選択的夫婦別姓制度が早期に実現することを望んでいます。
上告側の弁論で述べられていたように、この問題は「国民の意識調査の結果望んでいる人が多くなったから」とか、「家族の絆、一体感は夫婦同姓に根付く」とかの、社会通念だとか、根拠のないことを理由に回避出来るようなものではなく、裁判所は、たとえ国民の半数以上が望んでいないということであっても、憲法に照らし合わせたときに、現民法750条「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」が合憲であるかどうかを判断してもらいたいと願っています。

ⅲ直接見ることが出来た裁判官の態度

最後に、実際に傍聴に行ったことで良かったと思った点をあげると、直接、裁判官の態度を見ることが出来たということです。

裁判官は、裁判長を除いて一言も発さずただ聞いているだけでしたが、それぞれの裁判官が弁論をどのような態度で聞いているのかを直接見ることが出来たのは貴重な機会だったと思います。

弁論の趣旨は、既にプリントされたものが各裁判官に渡されているので、それに目を向けている裁判官もいれば、1回もそのプリント(というか机)には目を向けずにじっと弁論の発言者の言葉に聞き入ってる裁判官もいました。

裁判官の名前と顔を覚えてはいないので、どの裁判官がどの人なのか、ということは分かりませんでしたが、各裁判官がどのような態度を持ってこの弁論を聞いているのか、ということは、感想の最初に書いた「どのような判決でも納得出来るような気がした」という気持ちに、大きな影響を与えているように思います。


さて、判決が言い渡される日はまだ明らかになっていませんが、報道では年内にも判決が下されるようです。
僕自身としては10年、この時を待っていました。
あと2ヶ月弱、判決の時を待ちたいと思います。
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2015.11.06 Fri l 夫婦別姓について l top