先日の続きで、僕がなぜ選択的夫婦別姓制度導入を望んでいるのかを書きたいと思います。

僕がなぜ夫婦別姓を望むのか(←前回の投稿)

触発されたのは朝日新聞のフォーラム(夫婦の姓、どう考える?)でのそこに投稿されている意見ですが、昨日今日と結婚について解説する記事が載っています。

(教えて!結婚と法律:1)同姓規定、背景に「家制度」
(教えて!結婚と法律:2)旧姓使用や事実婚、困ることは?

特に2番目の記事には、法律婚と事実婚での差について書かれてあるので、「別姓が良いなら事実婚にすれば良いんじゃない?」という意見をお持ちの方には是非読んでもらいたいな、と思います。

それでは、前回に続いて、夫婦別姓についての【反対意見】に対しての僕の意見を書いていきます。


5.女性の権利を主張しすぎ、という意見について

日本の家族制度に反対する連中はたいていが女の馬鹿げたわがままを主張するフェミニストなので、相手にする必要はない。 男 40代


女性の権利主張が強くなり過ぎ 男 60代


別姓推進論を盛り上げる為のフォーラムでしょうか。違和感を感じます。別姓なんてありえません。
国や歴史によっていろいろな「決まり」がありますが、現代日本では夫婦同姓が「決まり」で、その前提の上に社会が成り立っています。
残念ながら、男女同権の推進とは言いながら実際は女性の優遇のみを推進する昨今の一部の間違った女権拡大論者の言い分のように聞こえてしまいます。夫の姓にするか妻の姓にするかは現在でも選択自由です。夫婦で十分話し合って決めればいいだけの事です。
仮定の話ですが、夫が妻の姓を名乗る事が法律で決まっていたら、こんな議論は起きるのでしょうか。起きたとしてももっと小規模だと推察します。 男 30代


夫婦別姓を望むことがあたかも【女性だけが抱えている問題】にされていることは僕自身もかなり疑問を感じています。
次に続けて取り上げることになりますが、法律婚をする際には、「夫又は妻の氏」を選択することになっているからです。
なので、現状95%以上の女性(妻)が男性(夫)の姓(氏)に改姓しているとはいえ、5%ほどの男性も女性の姓に改姓させられています。
なので、これは決して【女性だけが抱えている問題】ではないと僕は考えています。

けれども、上に引用した意見は、はっきり言ってしまえば、「女のくせに文句言ってんじゃねーよ」という各種ハラスメントが啓発されて、今までの様に振る舞うことの出来なくなってきた「おっさん」(それを言う人の実際の性別・年齢ではなく、比喩的な表現として)の意見に尽きると思っています。
「女のくせに」ということ自体が【女性差別】なのですが、本人たちはそれに気づいているのでしょうか。

そして、現に95%以上の女性が男性の姓に改姓されているという事実があり、本当に自由な選択、男女平等の文化があれば、このような一方的なことにならないので、現状が女性差別的規定であるということは当然の指摘だと思います。


6.現行法でも姓を選択できる、という意見について

私(男)は結婚の時、妻の氏を選択しました。
思うのですが、世の中の夫婦たちは、結婚の時にどちらの氏にするか、きちんと話し合っているのでしょうか。
「女性差別」だとかいう前に、話すべきことを話し合わなかった自分たちに落ち度があるとは思わないのでしょうか。
法律も、男性も、決して「夫の氏」を強制していませんよ。 男 30代


夫婦別姓は伝統からして受け入れられません。女性差別と言っているようですが、婿の場合だと、夫の姓が変わる訳だし、差別ではありません。変化すべきは、夫の姓を名乗るのが普通と考えることです。昔から妻の姓を名乗ることも多かったはずです。 男 50代


夫婦どちらの姓にするかは選べるはずなのに、結婚したら夫の姓になるのは当たり前という風潮に疑問を感じています。 女 20代



上の5のところでも書きましたが、現状では「夫又は妻の氏」を選択することになっています。
多くの男性がこのことを知らないようですが、女性(妻)の姓に改姓する男性(夫)もいます。

上に引用した2番目の意見では、男性が結婚に際し姓が変わるのは【婿養子】になること、という認識のようですが、それも違います。
婿養子ではなく、単に婚姻届にある【婚姻後の氏】という項目で、妻を選択しただけです。

この「男性が結婚に際し女性の姓に改姓=婿養子」という認識でいる人は少なくないようで、僕が結婚に際し改姓したことを知った人に「婿養子なのか」と何回か言われたことがあります。
そのたびに「違います」、結婚している人に対してならば「婚姻届に氏の選択欄があったでしょう?」と聞いても、「婿養子なの?」と聞いてきた人がみんな男性だったからか、「そんな項目あったっけ?」という反応でした。

まぁ、この「婿養子なの?」と聞いてくることや、そもそも結婚相手の姓が変わることに無頓着な男性の姿を目の前にすると、無意識の女性差別、というように感じました。
それと、「婿養子なの?」と聞く、ということは、「男性が姓を変えることは、通常ではあり得ない」と考えているということであり、これもまた、女性にはその「通常ではあり得ない」と考えていることを強いている、ということであり、女性差別、そして、改姓した男性に対しての差別でもあると僕は感じています。


7.その他の意見について

他にもいろいろな意見があったのですが、短いコメントで僕の考えを書いていきたいと思います。

別姓の場合、離婚率が高いと、また就学児童がいじめの対象になり易いと聞いた事がある。仕事上で別姓を使う事には反対しない。 女 30代


証拠を出して下さい。
「家族の一体感」が壊れるという様な意見と同じで、何の根拠も証拠もありません。

自分の旧姓には全く愛着がない。自分の姓を守るという考えが逆に家に縛られた古い考えの気がする 女 30代


「自分の姓を守るという考えが逆に家に縛られた古い考えの気がする」というのは、そのままの姓を名乗ることが「家」と勝手に関連づけられていますが、それも縛られた考え方なのではないかと思います。
そして、逆に結婚したら姓を変えるもの、という考え方に縛られているのではないかと思います。

1.夫婦別姓は、自己中心的で子供達のことを考えているとは言い難い。
2.姓ごときで文句言う暇があるのなら、もっと重要なことで議論すべきことが世の中には数え切れないほどある。 男 50代


1については既に以前答えたので、2についてですが、あなたはそうすれば良いと思います。
あなたにとって切実な問題が、他者にとって切実ではない問題であることがあるように、あなたにとって切実ではない問題が、他者にとって切実な問題である、というそれだけのことです。

これを認めると別姓を名乗りたい人の要望を満たすためだけに、役所の戸籍や住民票のシステムを変更することに成る。金融機関、年金等まで含めれば千億単位で費用が発生する。国の借金がとんでもない額になっている昨今、そこまでの費用を負担してまで変更する意味があるのか疑問を感じる。 男 50代


システムを変更することの意味や経済的な負担と権利を守るということは全く別の話です。
誰かに傷つけられたりすることから誰しもが守られる権利がある、と主張し、実現することに多大な「費用が発生する」から放っておく、ということはありえるのでしょうか。
警察を維持するのにも当然「費用が発生」していますが、「そこまでの費用を負担」する意味があるのか疑問と考えているのでしょうか。

家族としての覚悟。そして一緒に生きる覚悟の為に同じ姓は必要。
そして子供のためにも一つを感じる姓が必要。 男 20代


覚悟って、何でしょうか。
どうやったらそれを測ることが出来るのでしょうか。
夫婦同姓って、踏み絵ですか?
何度でも繰り返しますが【夫婦同姓】に意味を見いだしたり、幸福を感じる人はそのまま夫婦同姓を選択すればいいだけです。
それを何故望んでいない他者に強制するのかが、わかりません。


8.あなたの権利や自由は奪うつもりはないのに、何故私たちの権利や自由を奪うのか

最後に、僕が一番言いたいことを書いておきます。
既に今までのところでちょくちょく書いてきたことですが、僕が夫婦別姓の議論の中で反対する人たちの意見で一番疑問に思ったのは、夫婦同姓を望む人たちの権利や自由を奪うことはないのに、何故夫婦別姓を望む人達の権利や自由を奪うのか、ということです。

夫婦別姓を希望している人たちは(少なくとも僕や僕が実際にこの件について意見を聞いた人たち)は、夫婦同姓というあり方を一切否定していません。
「結婚したら全員が夫婦別姓でいるべきだ」と主張しているのではなく、「夫婦同姓でも、夫婦別姓でも選択できるようにしてほしい」と主張してます。

しかし、それに反対する人たちはいろいろな意見(時には根拠のない自分の感覚)を押しつけてきます。

反対する人は気づいているのでしょうか。
夫婦同姓を維持する、ということは、夫婦別姓でいるという自由と権利を侵害しているということを。

何故その権利や自由があると考えるのかと言えば、日本国憲法第24条に以下のように記されているからです。

1.婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2.配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。



女性であれ、男性であれ、結婚するというときに、どちらか一方の姓を選択しなければならない(どちらか一方の姓しか名乗ることが出来ない)という現状が、夫婦が「同等の権利を有する」とは考えられないし「両性の本質的平等に立脚して」いるとも考えられないのです。

「同等の権利を有」し、「両性の本質的平等に立脚して」いるのであれば、どちらか一方の姓に強制的に改姓されることは憲法の趣旨に反しているのではないか、ということです。
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2015.11.26 Thu l 夫婦別姓について l top